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だいこのは
大根の葉
壺井 栄
「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页
――ほんまに光りは感じとるがなあ――
つぶやきながら克子の頭を胸から離すようにして二、三歩あるきだした。そして敷石の上に立ち、かげのない午後の陽ざしにむけて、もう一度克子の顔をさらした。克子は一生けんめいの力でお母さんにしがみつき、その胸の中へ顔を押しつけていった。
「おうよし、よし、わかる、わかる。かわいそうになあ、こらえてくれよ克ちゃん、今ま見えるようにならんかいなあ。」
縁側にもどると、やっと安心したように克子はしがみついていた手の力をゆるめ、心もちお母さんの胸から顔を離した。目の悪いせいなのか肉のやせたまぶたをして、くまどったように黒く長いまつ毛を伏せ、全神経を額に集めたかのように、しかめた眉の上にくぼまりをつくり、あごを胸につけて、じっとうなだれている。
――めくらの相をしとるな――
お母さんは大きいため息をつき、また乳をふくませたが、克子はすぐにぷっつりと離した。うつむいて眉に皺をよせたまま両手で乳房を押さえた。満足したときの克子のしぐさの一つであった。お母さんは、はだかった胸をかき合わせ、負ぶい半纏にくるんで縁の片隅に寝かせた。身動きもせず、寝かされるまま寝ころんでいる克子を、上からおっかぶさるような恰好で見つめていたが、やっと腰をのばして健の方をむいた。