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たいしょうじゅうにねんくがつついたちよりのとうきょう・よこはまかんたいしんかさいについてのきろく
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,429 字 · 19 页
○大学、化学実験室辺から火を発したらしい。皆、四周はしっかりして居るのだが、天井が落ちて中は駄目。
幸、高楠先生関係の本、歴史の本、その他少々たすかり、啓明会のは、大部分見出された由、大学が(この図書館の貧弱な日本で)図書館を失ってはまるで手も足も出ないだろう。
マックスシュラーの文庫は、到頭開放しないまま灰燼にしてしまった。
○何にしろ東京が此那有様なので、種々の注意は皆此方に牽かれ、全滅した小田原、房州の諸町へはなかなか充分手がまわらない形がある。
○東京は地震地帯の上にあって、いつも六七十年目百年目に此那大地震がある。建てても建てても間もなく埋されるそれをいつまでくりかえすのか。
○今度の朝鮮人の陰謀は実に範囲広く、山村の郷里信州の小諸の方にも郡山にも、毒薬その他をもった鮮人が発見されたとのことだ。
九月二十四五日より大杉栄ほか二名が、甘粕大尉に殺された話やかましく新聞に現れた。福田戒厳令司令官が山梨に代ったのもこの理由であったのだ。他二名は誰か、又どうして殺したか、所持品などはどうされたか。
高津正道、佐野学、山川均菊栄氏等もやられたと云う噂あり。