轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

23 他生の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 页

青空文庫

「おばさん」

「はい、お雪さん、お入りなさい」

と言って、炬燵の上の酒の器だけを下へおろしてしまいますと、お雪は、

「さきほどは有難うございました、お邪魔をしてもようございますか」

「よいどころじゃございません、さあ、お入りなさいまし」

「御免下さい」

お雪が入って来ると、後家さんは炬燵の一方へ座蒲団を出して、ついでに茶棚の上の蕎麦饅頭のお盆を炬燵の上へ置きました。つまり、お雪が入って来たために、酒と蕎麦饅頭とが炬燵の上で交迭した結果になりました。

「一つおつまみなさいな」

「どうも御馳走さま」

三人が炬燵を囲んで世間話がはじまると、やがて先日の木曾踊りのことになり、

「おばさん、まだ、わたしあの歌がよく覚えきれませんから、教えて頂戴な」

後家さんは喜んでお雪に向って、例の「心細いよ、木曾路の旅は、笠に木の葉が舞いかかる」という歌の文句からはじめて、合の手までも教え、はては自分が得意になって、かなりの美音でうたい出しましたから、一座もなんとなく陽気になってきました。

歌を教えてしまうと、後家さんは、

「踊りはこの人が上手だから、教えておもらいなさい」

と男妾の浅吉を指さしました。