轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

三宅氏は呆れてしまった。

事実、今のは面でもなんでもありはしない。面金に障ったかどうかすらも怪しいのに、それを先方は鮮かに受取ってしまったのだから、三宅氏が呆れたのも無理はない。呆れたというよりも寧ろ恥じ入ってしまったのだ。自分がこの大名人のためにばかにされ、子供扱いにされてしまったように思われるから、顔から火の出るほどに恥かしくなった。

「山本先生、ただいまのは、ほんの擦り面、ぜひもう一度お立合を願いたい」

しかるに、相手の大名人は謙遜を極めたもので、

「いやいや恐れ入った先生のお腕前、我々風情の遠く及ぶところにあらず」

と言って、どうしても立合わない。

「では、門弟共へぜひ一手の御教授を……」

と願ってみたが、先生に及ばざる以上、御門弟衆とお手合せには及ばずと、これも固く辞退する。止むを得ず、三宅氏は数名の門弟と共に、大名人を招待して宴を張る。

その席上、改めて三宅氏は南竜軒に向い、何人について学ばれしや、流儀の系統等を相訊ねると――南竜軒先生、極めて無邪気正直に一切をブチまけてしまった。

これを聞いた三宅氏は胸をうって三嘆し、今にして無心の有心に勝るの神髄を知り得たり、といって喜ぶ。