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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

も確かに肯綮に当っている。

それより外国と貿易をすれば、無用の物が殖えて、有用の物を取られてしまうという心配の愚なことを解釈し、日本国中の学者先生がたいがい残らず海防策というものを書いて、頭から外国人を盗人に見てかかるの陋を笑い、最後には、

「されば地図でこそ日本は、世界の三百分の一つばかりに見る影もなき小国のやう思はるれども、その実は全世界を三十にわりてその一分を押領するほどの人数を持てる国なり、まして産物は沢山、食物は勿論……」

と土地は小なれども人口の大なることに自信を持たせて、盛んにヨーロッパ文明を取入れることを主張している論旨は闊大にして、精神は親切に、文章は例の痒いところへ手の届くようです。

田山白雲がその頃では最新版に属する「西洋事情」を読み出したのは、それからまもない時であります。

前の匿名の写本「唐人往来」も、この新刊の「西洋事情」も、等しく福沢諭吉の著述であることは申すまでもありません。

当時のすべての階級がこれらの著作によって教えられた通り、田山白雲もほとんど革命的の知識を与えられました。

白雲思うよう、今まで、多少西洋の翻訳書も見たが、それは兵術家は兵術のために、医者は医者のために、語学者は語学のために著されたもののみで、この人の著作のように、包括的に西洋というものの全部を見せてくれ