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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
24 流転の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页
と米友がたてつづけに答えました。
いったい、これはどうしたのだ。尋ねている方が迷子だか、尋ねられているのが迷子だか、わからなくなりました。
そこへ、またも全浅間の湯を沸かすような賑わいが持込まれたのは、塩市を出た屋台と手古舞の一隊が、今しもこの浅間の湯へ繰込んだということで、遥かに囃子の音が聞える、木遣の節が聞える。
そこで、米友をとりまいていた連中も、米友を振捨てて走り出したから、全然閑却されてしまった米友。
果して、今しも城下から練込んだ養老のダンジリ。
それを若い衆がエンヤラヤと引いて、手古舞、金棒曳きが先を払う。見物が潮のように溢れ出す。
そこで、誰も米友を相手にする者のなくなったのもぜひないこと。
ダンジリは上方式、手古舞と金棒曳きは江戸前、若い衆は揃い、見物と弥次とは思い思い。
屋台の上の囃子は鍔江流。
この練込みの世話焼に、一種異様な人物が飛び廻っている――
「さあ、しっかりやってくんな、何でもお祭りというやつは江戸前で行かなくちゃあいけねえ、女房でも、子供でも、叩き売ってやる意気組みでなけりゃ、江戸前のお祭りは見せられねえ、ケチケチするない箆棒様」