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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

「友様、犬も歩けば棒に当るといって、何が仕合せになるか知れねえ、これはそれ、わしが友達の家だよ、ホラ門札に松原葆斎とあるだろう、大将いまは江戸にいるが、出立の前に、松本へ行ったら、ぜひおれの家を訪ねてくれろ、手紙を出しておくから……そうして、おれの家を宿にして一通り松本城下を見てもらいてえとこういった、遠慮をするには及ばねえ、松原だの、浅田宗伯なんぞは、おれたちの仲間でも至極出来のいい方だ」

こういって道庵は、ズンズンと門内へ入り込んで行きます。

松原葆斎は松本藩の医にして、儒を兼ねている。道庵と知り合いになったのは多分江戸遊学中。後、京都に遊学し、また長崎に行って蘭人について医を学び、今は江戸の聖堂に出て、その助教授をしている。

浅田宗伯は同じく信濃の人――一代の名医にして、また豪傑の資を兼ねている。

果して、松原の家では道庵の来訪を非常に喜んで、もてなすこと斜めならず。

その翌日は、同業の人々が案内に立って、まず藩学崇教館に道庵主従を案内して、そのとき開かれた展覧会を見せてくれました。

そこには松本を中心にして、概して信濃一国に関する古記古文書がある。