轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

「なにも、わたしが叱言をいう役じゃありませんが、あの人気最中に、逃げ出すなんて、親方の身にもなってみてもあんまりだから、つい……」

「ところで……」

がんりきは長火鉢の前に脂下って、

「湯治と来ちゃあ二日や三日じゃあ帰れめえが、お勢ちゃんが留守番かい?」

「いいえ、わたしが留守番ときまったわけじゃありませんの、二階にお客様がおいでなさるもんですから……」

「お客様……」

といって、がんりきの百が変な顔をして、二階を見上げました。

「そのお客様てえのは……?」

がんりきの言葉尻が上って来るのを、

「絵の先生ですよ」

お勢は何気なく答えたが、がんりきの胸がどうも穏かでないらしい。

「絵の先生が、お留守番なのかい?」

「お留守番というわけではありませんが、親方がお泊め申して置くもんですから、わたしたちが毎日隙を見ちゃあ、こうして入代り立代り、お世話に上るんですよ」

「へえ、なるほど……」

がんりきの胸の雲行きが、いよいよ穏かでないらしい。

というのは、このがんりきという男と、お角とは、一時盛んに熱くなり合ったことがある。しかし、それはこういう輩の腐れ合いで、いくら逆上てもおたがいに目先の見えないところまでは行かない。