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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
33 不破の関の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页
それをなおくわしく言えば、雲助が客を送り迎えのために、かなりの遠距離を、空駕籠を飛ばして行かねばならぬ使命を帯びたとする、空駕籠というやつは実のあるのよりも担ぎにくいことを常例とする、肩ざわりから言っても、足並の整調の上から言っても、駕籠の中には、どうしても人間相当の重味のあるものが充実していなければ、遠路を走るイキが合わないという結果になる。
こういう場合に、雲助は、人を頼んでロハで乗ってもらうか、そうでなければ無警告にこのぶったくりを強行することがある。
つまり、走りながら、空駕籠の充填物にはまりそうなおとりを物色し、それを見つけたことになると、否応いわさずひっとらえて只駕籠の中へねじ込み、目的地までは有無を言わさずに担ぎ込み、まつり込むのである。目的地に着きさえすれば、忽ちつまみ出され御用済みしだい解放されるのだから、生命にも、財産にも、べつだん差障りはないのだし、何十里走らせようとも別にまた駕籠賃だの、酒料だのを要求される心配は更に無いとはいえ、ぶったくられた当人と、その身寄りの者の迷惑といったらたとうるに物がないのです。
しかしながら雲助といえども、その辺には相当の常識と、社会性とを働かせている、ぶったくりとは言いながら、その人選は無茶に行われるわけではなく、ぶったくるにしても、なるべく迷惑