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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

33 不破の関の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页

青空文庫

に諒解のある間柄だということを信じているから、それに従って行きさえすれば悪いようにはなるまいという心だのみのみで、無心に足を運ばせて行くだけのものです。

やがて清洲から一里半の丁場、稲葉の宿を素通りして、同じような広い左右の田圃道を行くことまた一里半。

萩原――の宿で中食

萩原より起まで一里

起より墨俣まで二里――

墨俣より二里四町にして、ついに大垣の城下へ着いてしまいました。

これを、かりに清洲からの発足としても約八里の道、女連れの旅としてはかなり急いだものと見なければならない。

ともかくも一行は、こうして無事に大垣の城下に着き、木村という本陣に宿を据えました。

米友も御多分によって、宿屋の中へまぎれ込み、一番最後に目立たないところで足をとめていると、

「友さん――」

「あっ!」

顧みて見ると、そこに立っているのはお角さんでした。

「友さん、お前、御苦労さまだがね……」

お角さんは存外他念なく、米友に対して物やさしい物の言いぶりでありました。

「御苦労さまだけれど、その足で、ちょっと頼まれてくれないかね」

「何だい」

その足で頼まれてくれというのは、今し取りかけた草鞋を取るなという命令のようなものです。