轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
33 不破の関の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页
然るにお銀様は、じっと瞳をこらして、それをまともに見ているのであります。こうして大谷刑部少輔は紙帳の中に、ひとり端然と控えていることしばし、これも武装をした一人の使者が眼前に現われました。
「石田治部少輔の家来、柏原彦右衛門にござりまする」
使者の者がこう言って頭を下げる。刑部少輔吉隆は頷いて、
「うむ、彦右か、大儀であった、さいぜん治部殿から御手紙であったが、重ねて、そなたを使者としてつかわされた次第は?」
「主人よりの申附けにより、刑部少輔殿を、枉げて佐和山の城へ御案内申せとのことにござりまする」
「それは心得ぬ、我等このたびの出陣は、内府公の加勢をして会津発向のほかに用向はこれ無きはず、治部少輔がこの際、我等を途中より招かるるは、さだめて何ぞ別段の思惑もあることであろう、そちは使者を命ぜられたほどの者である故に、その仔細を存じておらるるはず、申し聞かせられい」
「主人事、私共へはなんらの申し聞けはござりませぬが、内府公の御手前の儀は、我等主人に於て何分にもおとりなし仕るべきにより、枉げて佐和山の城へお立寄りを願いたい、我等主人胸中には、刑部少輔殿に格別の御相談を申し上げたき儀もあるやに察し申しておりまする」