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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
留の地蔵様
つんぼで盲目
いくら拝んでも
ききゃしない!
せっかく紹介しても紹介し甲斐がない。宣伝を試みても宣伝甲斐がない。我等うたえども、彼踊らず、です――下の凝り固まりがいっこう動揺しないものですから、茂太郎はあきらめてこういうふうに開き直ったのですが、それとても、イエスキリストを祈っている人に対しての当てつけでもなければ、御利益の少ない地蔵様に対する冒涜でもない。歌を詩に直し、詩を歌に直し、もしくは、韻文を散文に直す一つの技巧――平俗に言えばテレ隠し、むずかしく言えば、唐代に於て「詩」が「詞」となり、「填詞」ともなり「倚声」ともなるその変化の一つの作用と見てもよろしい。
檣上の小宣伝家は、相手が唖であり、聾である――或いは聾であるが故に唖であり、唖であるが故に聾――どちらでもかまわないが、これは相手にはならないと見て、また開き直って、次なる出鱈目の用意にとりかかった時、はじめて下から音声がありました。
「茂ちゃん、もういいかげんにして下りていらっしゃい」
その声は、聡明なる響きを持つ若い女の声でありました。
百四十二
下から婦人の声で呼びかけられて、清澄の茂太郎は、