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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

37 恐山の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页

青空文庫

いや、まだここで寝込んではならないぞと頑張る。

百五十六

安達ヶ原の黒塚の地位に就いて、青梅の七兵衛が錯覚を起したのを、そう強く責めてもかわいそうです。明治、大正、昭和の間にかけて、まだ解決しきれない学者の間の問題に「法隆寺再建非再建」の問題がありました。

聖徳太子の創建し給える大和の国の法隆寺は、日本文化の源泉地であり、世界最古の木造建築ということになっている。これが聖徳太子時代に創建せられて、そのままの保存であるか、その後、和銅に於て再建せられたものであるかという論争は、問題としても、人文史上の由々しき大問題であり、学者としても、論争甲斐のある論争に相違ありません。

吾人は、右に就いて、明治以来、錚々たる学者博士の意見を読みました。近頃は博士号の権威もだいぶ疑わしくなってはいるが、この法隆寺問題の論争に出没する博士たちは、たしかに博士らしいおのおのの権威を見せて、人意を強くするものがある。

それらの学者博士たちの勇ましい武者ぶりの間に、ひときわ優れて見える一人の博士がある、喜田貞吉博士という。

いずれ、件の学者博士たちの造詣のほどに優り劣りはないとして、再建論者の第一陣、喜田博士の如きは、武者ぶり特に鮮かで、敵も味方も、一応は鳴りをしずめて耳を傾けざるを得ないほどの武者ぶりであるのです