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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

37 恐山の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页

青空文庫

呼吸器を日に日に蝕まれながら、剣は超人的に伸びて行ったが、この翌年、その肺病のために、この男のみが畳の上で死ぬようなことになるとは、一層の悲惨である。

立ちかけたお角さんが、そういう噂話を聞いているうちに、後から、のそりのそりと漸く至り着いたところの、お角さんいやがらせの一行――即ち三ぴん、よた者、折助、安直のならず者の一行であります。

この時分になって、ようやくこの場へのさばり着いて、そうして、着くと早々、お角さんの方へいやな眼をつかって、キザな笑い方をしながら、またもその鼻っ先へ盆蓙を敷いてしまいました。

またしてもここで、丁半、ちょぼ一、南京ばくちをはじめて、江戸ッ児のお角をいやがらせようというたくらみに相違ないが、その時、またも店の中がざわめき渡って、

「あ、また、新撰組のお方がおいでになった」

「ナニ、新撰組!」

「真先においでになるのが、あれが、新撰組の副将、土方歳三様でございます」

「ナニ、土方」

「その次のが、今お話の沖田総司殿!」

「ナニ、沖田!」

新撰組の名を聞いて、一口上げに狼狽周章を極めているのは、例のその三ぴん、よた者、折助、ならず者――お角さんいやがらせの盆蓙連であります。