轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
彼のたずね求めんとするところには、おのずから一定の目当てがある。そのとらえんとする殺気は、凝って一つの物影として存している。
その物影とは何物ぞ。よく問題になる例の暴女王、お銀様の放漫を戒めんために出動したのか。それもそうであって、必ずしもそうではない。お銀様は放逸に、山を出て来たもののようだが、彼女は米友から制馭さるべき地位にある女ではない。かえって、米友が統制を受くべきほどの略と権とを持った女だ。米友がたずね求めんとする殺気はそれではない。彼は、お銀様以前に、セント・エルモの火に送られて山を出た、その黒い覆面の怪物を抑えようとして下りて来たのです。彼をしてもうこれ以上に犬を斬らせまいとして、その慈悲心から、山を下って、そうして湖畔の町を、今日も、昨日の晩も、あさり歩いている。
江戸の本所の弥勒寺長屋に、同じ釜の飯を食って以来、いや、もっと早く言えば、甲府城下の如法闇夜の時以来、あの覆面の怪物の夜な夜なの出没の幻怪ぶりを満喫していること、この男の如きはない。自らもその幻怪の誘惑に堪えられなかったが、それがまぼろしの出没である間はよろしい。右の怪物が、じっとして立ち止まった時に、罪もない人間の血の幾斗幾升が、空しく地中に吸い込まれ、その肉体がうつろにされて、地上に累々たる酸鼻には堪えられたものでない。