轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

37 恐山の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页

青空文庫

「そうですね」

二人は乗ることを先にして、舟の形を見ることを後にしましたが、白雲が、

「占めた!」

と叫んで、

「君、見給え、この舟は――これは日本の猪牙ではない、形をよく見給え、西洋のバッテイラ型という舟だ、間違いなく、駒井氏の無名丸から外して逃げ出して来たその舟なのだ、いいかね、君に話した毛唐のマドロスというウスノロが、少し精神に異状のある娘を誘拐して連れ出したのがこの舟だ――ここに乗捨てられてある以上は、もう論議無用――あの鳴り物が物を言う。君、櫓が押せるかね、押せるなら、ひとつこれで乗切ってくれ給え、あの鳴り物の音をたよりに――待ち給え、この舟がここに乗捨てられてある以上、ここから沼沿いに路があるだろう、その間道をひとつたずねて見給え」

二十五

そもそも、田山白雲のこのたびの北上の目的というものは、一石二鳥をも三鳥をも兼ねたものでありました。

その一石は、いま現にほぼ証跡をつきとめ得たらしいところのマドロスと、兵部の娘を取押えんがためでありました。目下、松島湾の月ノ浦に碇泊しているところの駒井甚三郎創案建造の蒸気船、無名丸から脱走して来たところの駈落者なのであります。