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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
41 椰子林の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页
さてこれからがお庭でございます、このお庭は太閤様御自作のお庭でございます、あれが名高い藤戸石、一名を千石石とも申します、錦の袋に入れて二百人でこれへ運びました、天下一の名石でございます。
これが琴平石、平忠度の腰掛石、水の流れのような皺のあるのがなんか石、蝦蟇石、あの中島の松が前から見れば兜松、後ろから見れば鎧松、兜かけ松、鎧かけ松とも申します、向うの小山の林の中に小さく見えます祠が、豊臣太閤をお祀り致してございます、なぜ、あんな小さく隠してあるかと思いますと、徳川家の天下の御威勢に遠慮をしたのでございます、この名園に一つの欠点がございます、それはあの二つの土橋が同じ方面へ向けてかけてあることが一つの欠点でございます」
名園の名園たる来歴を一通り説明してのけた上に、その欠点をまで附け加える小坊主の口合いは、そういうことをまで附加せよと教えられているのではなく、案内しているうちに、誰かその道の者があって、立話にこんな批評を加えたのを小耳に留めて置いて、その後の説明の補足に用いているものと思われます。
この滔々たる説明を、小坊主の口から一気に聞かされたことに於てお銀様とお角さんが、再び眼を見合わせたのは、今度は、弁信法師に似ている、今までは宇治山田の兄いに肖過ぎるほど肖ていたのが、今度は、あのお喋り坊主の