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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

41 椰子林の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页

青空文庫

時に、その前戦の小手調べに、ひとつそのバクチというやつの本格を、拙者に見せてくれまいか。拙者通俗の概念というはあるが、実際の経験というはない、予行演習をひとつこの場で見せてもらえんものかなあ」

「合点でござんす――ずいぶん、がんりきの腕のあるところをお目にかけやしょう」

と言って、がんりきの百は、いま一方だけの手を懐ろの中に差し込んだと見ると、ズラリ引き出した自前の胴巻、それを逆さにふると、一つの小箱が飛び出しました。小箱の大きさ全長が一寸五分、幅が一寸足らず、関守氏が拾い上げて見ると、「下方屋」と書いてある。がんりきが受取って、パチンとその小箱の合せ目を外すと、コロがり出した賽粒というものが大小四個。大小というが、その大なるも三分立方はなく、以下順次四粒、中なると小なるはそれに準じて、小豆に似たような代物まであります。

「イヤに、ちっぽけな賽ころだねえ」

と関守氏が言う。百はそれをもとのように小箱に並べながら、

「これは商売人の懐賽ってやつで、駈出しには持てません、さて早速ながら本文に移りますが、バクチというやつも、その種類を数え立てると千差万別、際限はねえんですが、まず丁半、ちょぼ一というやつがバクチの方では関なんで、それにつづいて花札、めくり、穴一、コマドリ、オイチョカブ……そこで、丁半を心得ていれば即ちバクチ