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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

34 白雲の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页

青空文庫

その四分目ほどは、先日、お絹から振舞われた覚えがある。その残りの部分をお絹から壜を取り上げられて、「もう、いけません、お預けですよ、このお酒は強いから、毎日、このくらいずつ、わたしがくぎって飲ませて上げます」と蔵いこまれたのを覚えている。それを主膳は覚えているから、これだと思って、栓をとって、グッと飲み出したのですが、その時に、さすがの主膳も、一時、

「カッ!」

と口と咽喉を鳴らして、飲んだ分を一時に吐き出し、壜をおっぽり出そうとしたほどに、酒の強烈な力におそれました。強い酒とは知っていたが、これほど強いものだとは思わなかった。

しかし、いくら強くても酒は酒に相違ない。毒物でないということは、主膳の経験に於ても、強いながら口当りにもわかるものですから、二口目はやや注意して、そろりそろりと飲みました。

そうして、この何というかわからない強烈な酒の残り六分ほどを主膳が、そろりそろりと忽ち飲みつくしてしまうと、眼がクラクラとしました。クラクラとしたけれども、毒に当ったのではない、やっぱり酔心地に相違ない。瞑眩のうちに陶酔を感じながら空壜をおっぽり出すと共に、またそこいらをガラガラひっかき廻しているうちに、ふと、折込みの舶来のガラス鏡を発見し、