轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

中里介山『大菩薩峠10』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 页

青空文庫

二十六

木曾の福島の宿屋で、今晩は道庵先生が大声を発しております。

もはや、夕飯も済み、これから寝に就こうとするにあたって、道庵が突然大きな声を出しはじめたものだから、最初はあたり近所の人々が驚きましたけれど、やがて、驚かなくなってしまいました。

それというのは、無意味に大声を発したのではなく、よく聞いていると、それは急に本を読みはじめたものらしいから、宿の者も安心したのです。

それにしても、道庵が今晩に限って、なぜ、こうして改まって本を読み出したのだか、また、こうまで改まって、道庵をして巻を措くを忘れしむるほどの書物は何物であるか、それは充分にわかりませんが、道庵の眼の前には、たしかに一冊の書物が置いてあるにはあるのです。

枕元のところに一冊の書物がひろげてあって、それを前にして道庵はキチンとかしこまって、しきりに朗々と読み立てているにはいるのですが、肝腎のその眼が、いっこう書巻の上には注いでいず、向うの行燈の、やや黄ばみかかった紙の横の方に「へへののもへじ」が書いてあって、その下から、一匹のこおろぎが油をなめに行こうとするところを、一心に見つめながら、そうして唇はしかつめらしい声で、朗々と文章を読み上げているのですから、出鱈目をいって、勉強ぶりを衒っているのか、そうでなければ暗誦を