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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

中里介山『大菩薩峠11』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 页

青空文庫

単純なようで、変化もあるし、第一、当人が興に乗って、充実しきっているから、自分も踊りながら、見ている人をも、その陶酔に誘い入れずにはおかないのだから、兵部の娘も引入れられてしまい、

「茂ちゃん、わたしも踊るわ」

こちらの方から、盆踊りにある手ぶりで、兵部の娘が踊り出して来ました。

さんざんに踊って、踊り疲れた茂太郎は、そのまま以前の岩の上に来て腰を卸してしまうと、舞台はおのずから、兵部の娘ひとりに譲られたことになる。

その時、兵部の娘は盆踊りの手ぶりから、本式の踊りになって、しとやかに浦島を踊っているのを、茂太郎は汗をふきながら一心に見ているのは、その手を覚え込もうと心がけているのか、或いは自分のガムシャラの踊りに比較して、その長所と、短所とを、総評的に見ているのかも知れません。

「茂ちゃん、もっとお踊りよ」

「お嬢さん、あなた、もっと踊って見せて下さい、今のは浦島でしょう、今度は老松かなにかを」

「生意気な子だよ、老松が何だか、知りもしないくせに」

「知ってますからね」

「では、お前、踊ってごらん」

「見ていればわかるけれども、自分じゃ踊れませんよ」

「出鱈目の踊りなら、いくらでも踊るくせに。