轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
中里介山『大菩薩峠2』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 页
竜之助は、奥の間で本を読んでいる子供の声に耳を澄ましている様子です。
子供は三字経を読んでいるものらしい。
「養うて教へざるは父のあやまち
教へて厳ならざるは師のおこたり」
というような文句が断続に聞えます。
「今はもう、あの子の成人するばかりが楽しみでございます。他国へ出る時はお隣りへ預けて参りますが、それでも感心に手習や学問に精を出してくれますから。なに、こんな山家で学問なんぞをと申しますけれど、死んだ良人が、この子はぜひ世間に出してやりたいと申しておりましたものですから」
母もやっぱり、わが子の読書の声を嬉しがって聞き惚れています。やがて読書の声が止んで、しばらくして裏口からハタハタと駆け出して来た子供。
「お母さん」
「蔵太郎かえ」
「ああ」
月見草が咲いた中から、面を出した六歳ばかりの可愛らしい男の児。
「おじさんもいるの?」
「おじさんもここでお月見を……お前も来てあのお月様をごらん」
お徳はわが子を縁側の方へ麾く。
「月見草がよく咲いてるね」
と言って、子供はその花を一つる。
「あ、これ、その花を取ってはいけません、それはお前のお父さんが大好きな花なのだから大切にしなくては」