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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

辻斬の本場ともいうべきこのあたり。深夜にこの辺をうろつく者は、斬りに行くか、斬られに行くか二つの中。ここで米友は、改めて自分ながら危ない夜道だと思いました。

幸いにして「伝通院学寮」の文字が、辻番の目にも諒解を与えるに充分であったと見えて、無事にここまで来た時に、はじめて米友も、うすら淋しさを感じたが、もう一息で両国。そこは、花やかな歓楽郷。橋一つ越ゆれば目的の相生町。

で、以前、女の殺されたあたりの柳の生えた堤に沿うて急いで行くと、道路に物が横たわっている。心得て米友は少し廻り込んで歩きながら、提灯をつきつけて地上を見ると、道に横たわっているのは意外にも一本の長い刀。

米友はギョッとして、何かまた、いたずら者の名残り、逃ぐるに急で振落して行ったものだろう、見ぬふりして過ぎるのも卑怯なような気がしたから、ともかくもと腰を屈めて地上に落ちた刀を拾い取ろうとすると、その刀がひとりでにスルスルと動き出しました。

刀がひとりでに動き出して堤の上へのぼると、堤の上から、その刀を携えて下りて来たものがありました。

「武士たるものの魂を足蹴にするとは何事だ」

「ナニ?」