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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

黒衣覆面の男の装いして、両国のお角の宅を出し抜き、こうしてここまで辿って来たお銀様。ここでまたも方角を失いました。

ほどなく西北と覚しき方面の谷間にあたって一団の火光。

お銀様はその火を見て喜びました。

しかしながら、この一団の火光は、お銀様を喜ばす目的地方面の火ではなく、怖るべき山窩の一団の野営ではないか。お銀様は、そんなことを一向に知りません。

お銀様が進んで行く行く手の谷間から、カラカラと神楽太鼓の音が起りました。

それを聞いたお銀様は、いよいよ里の近くなったことを知ってよろこぶ。

あのはやしの音は、鎮守の夜宮か、或いは若い衆連の稽古。その音をたよりに里へ出ようとして、かえって里へ遠くなることを気づかないのはぜひもありません。

この神楽太鼓の音こそ、人を迷わすものでありました。その音の響き来ることを聞いて、この音の起るところを知らない囃子がそれです。土地の人はそれを恐れていたけれど、お銀様は、そのいわれを知らない。

当時、この附近の村里に住む人は、この太鼓の音を聞くと怖毛をふるったものです。

「諸国里人談」に曰く、

「武州相州の界、信濃坂に夜毎にはやし物の音あり。