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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

ただ、足がなんともいえず軽快である。同じような藪の中と、同じような燈籠をいくつ数えて歩いても、疲れるということを知らない。そこで、おなじような道を歩む。

「もし」

ふと、その燈籠の一つの下で人影を見出したから、歩みをとどめて竜之助が問いかけました。

「これは真直ぐに行ってよいのですか」

問われたのは女の子です。髪をかむろに切りまわし、秋草をおぼろ染めにしたような単の振袖を着て、燈籠の下に小さく立っていましたが、竜之助にたずねられて、ニッコリとさびしく笑い、

「どこへおいでになりますか」

「白骨の温泉へ……」

「白骨……そんな温泉はこの近所にはございませんよ」

「ない?」

「ええ、ハッコツなんて名前の温泉は、この近所にはございません」

「ないはずはないのだが……」

「それでは字に書いて見せて下さいな」

請われて竜之助は、金剛杖を取り直して、地上に、「白骨」の文字を認めました。その白骨の文字が、なんという鮮かな青味を持っていることでしょう、さながら、翡翠の光を集めたようにかがやきましたので、竜之助もその文字に見入りますと女の子は、

「それはハッコツとお読みになっては違います、シラホネと読むのでございます」