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たいしゅうぶんげいもんどう
大衆文芸問答
国枝 史郎
「新小説」1926(大正15)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,205 字 · 17 页
それを見て取った大衆文芸家は、宜敷いというので肌を抜ぎ――鉢巻ぐらいはしたでしょう、続々名作を出したんですよ。そこで盛んになったんですよ。つまり需要と供給とが、程よく釣合が取れたんです」問「去年は随分純文壇の人が、大衆文芸を取り上げて、議論したようじゃありませんか」答「それに対して大衆文芸家は、殆ど答えようとはしませんでしたね」問「全くあいつは不思議でした。どう解釈すべきでしょう?」答「答えることが無かったのか、答えることを欲しなかったのか、まあ此二つに帰着しましょう」問「もし前者なら不合理であり、もし後者なら利口すぎますね」答「そうです前者なら不合理です。自分のやっている仕事に就いては、各自意見がある筈ですからね。そうは云っても大衆文芸家の中には、そういう不合理の心境に於て、書いていた人もあったようです。だが公平にも然ういう人の作は、世間の人に受けて居りません。そうして幸にも然ういう人は、少いようでございますよ。さて後者なら利口すぎるという、この言葉も中っています。つまり貴郎の云おうとする処は、作家が評論を兼ねるということは、往々失敗を招くので、それで避けたというのでしょう?」