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ぜにがたへいじとりものひかえ

奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選

野村 胡堂

野村胡堂『奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,249 字 · 62 页

青空文庫

後添の主人源左衛門は、元は武家で腕に覚えがあるから、私を殺しに来るに違いない――というのだそうで」

「なるほど、そんな事もあるだろうな」

「三度の食事も娘が運んで、下女のお鉄でさえも、滅多に離屋へは寄せつけないというから大変でしょう」

「で、その娘がお前を口説こうというのか」

「そうなんで、ヘッ、ヘッ」

「よっぽどの不きりょうか」

「と、とんでもない。江戸一番と言っちゃ嘘になるが、本郷通りで三番とは下りませんよ。昔話の同じ町に生れた八百屋お七だって、あれ程ではないだろうと、町内の年寄は言いますが」

「そんな娘がねえ」

「あっしには勿体ないというんでしょう、親分」

「ヒガむなよ。そんなわけじゃねえ、わけがありそうだと思っただけの話さ」

「娘のお君は十八、少し淋しいけれど、可愛い娘ですよ、でも、気の変になった母親の介抱をして、降るほどの縁談にも首を縦に振らないのが、あっしに逢いたいというから面白いでしょう」

八五郎はまた長んがい顎を撫で廻すのです。

「良い気のものだよ」

「母親のお駒が、殺されそうな気がして叶わないと、湯島の吉に頼んで来たから、この間から折を見て二三度行ってみるうちに、娘のお君の方がなんか物を言いたそうにしているから、昨日店の前で逢ったとき、思い切ってそっと訊いてみると、――親分、明後日の晩は義理の父親の源左衛門が