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きぞくひがん

奇賊悲願

海野 十三

烏啼天駆シリーズ・3

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,375 字 · 19 页

青空文庫

「よくも毎晩のように邪魔をしやがる。くそッ、これを喰え」

ピストルは一発、発射された。

それは見事に刑事の左脚に命中し、太腿のところから千切ってしまった。貫一の使っているのは特殊な破壊弾であったから、こんな工合に恐ろしい破壊力を発揮するのであった。

貫一は仏像を背負ったまま、今夜は倒れた刑事の方へ近づいた。月光の下に展開する凄惨な光景。

「間違いなく、左脚がちょん切れている。当人は虫の息だ。なまぐさい血の海。――あと二三十分の寿命だろう。南無阿弥陀仏」

貫一は安心をして、その場を立った。

烏啼の館に、四体の仏像が集った。烏啼はいつもの口癖で、なにかなかったかと訊いたが貫一はいつもの口癖で、異状なしと答えた。

弥陀本願

いよいよ大願成就の第五夜となった。

今宵のお寺は、練馬の宇定寺で、覘う一件は、唐の国から伝来の阿弥陀如来像であった。月はかなりふくらんで中天に光を放ち、どこからともなく花の香のする春の宵であった。

またもや縞馬姿の刑事が、森蔭を出て、煙草の火を借りに来たのには愕くよりも呆れてしまった。

「君は、たしかに毎晩出て来る男に相違ないよ。君は幽霊かい」