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きぞくひがん

奇賊悲願

海野 十三

烏啼天駆シリーズ・3

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,375 字 · 19 页

青空文庫

「……おれが二発目を発射するような気になるなんて、もう焼きが廻ったんだ。ピストルも、今夜かぎり、お別れだ」

そういうと貫一は、ピストルを空高く投げた。やがて森かげの池の水が、ぽちゃんと鳴って、貫一無念のピストルを呑んだ。

五体の秘仏の前で、一心発願した的矢貫一が、お志万と結婚の式をあげた。

烏啼も大よろこび、お志万はいうに及ばず貫一も今は万更ではない面持で、お志万の手を握って放さなかった。

眷族や仲間が百名ちかく集っての盛大な酒宴が開かれ、盃は新郎新婦へ矢のようにとんだ。

宴の半ばに二人連れの客が、新郎の前にぴたりと座った。貫一はその客を見て愕いた。一人は猫背に黒眼鏡の、有名な探偵袋猫々であったし、もう一人は縞馬服の例の刑事であったから。

「わっはっはっ」と、貫一の横に座っていた烏啼が大きく笑った。

「貫一。このお二人さんによくお礼を申上げな。これはお前たちの大恩人だからね」

「この幽霊め、また今夜も出て来たか」

「おい、そんなことをいってはいけない。この方は、袋猫々先生が特に探して来て下すった福の神で、実はこの方は、戦争で両腕両脚をなくされて、手足四本とも義手義足をはめられていられる方なんだ。