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おうしゅうにおけるみたちふじわらし

奥州における御館藤原氏

喜田 貞吉

「民族と歴史 第七巻第六号」1922(大正11)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,211 字 · 34 页

青空文庫

基衡雖レ廻二秘計一、不二承引一。遂ニ責取テ三ニ破テ帰参云々。

とある。彼の黄金の力はよく御室御所をまでも煩わして、方便を廻らして忠通の額を手に入れんとしたのであったが、それが基衡の依頼であることを知るに及んで強いてこれを取り返し、いかに秘計をめぐらすもついにこれに応じなかったというところに、忠通の剛直が窺われるとともに、基衡がやはり父清衡と同じく王地を押領する者として、心ある公家から指弾されていた趣を察することが出来よう。

基衡がいかに横暴を極めていたかの有様は、やはりこれも『古事談』に、

宗形宮内卿入道師綱陸奥守ニテ下向時、基衡押‐二領一国一、如レ無二国威一。仍奏‐二聞事由一、申‐二下宣旨一、擬レ検‐二注国中公田一之処、忍郡者基衡蔵テ先々不レ入二国使一。而今度任二宣旨一、擬二検注一之間、基衡件郡地頭大庄司季春ニ合レ心テ禦レ之。国司猶帯二宣旨一推入之間、已放レ矢及二合戦一了。守方被レ疵者甚多、

という逸話によって知ることが出来よう。彼は当時父祖伝領の六郡以外、遠く南の方信夫郡にまでもその勢力を伸ばして、いわゆる王地を押領する者であった。かくて彼はその勢力をもって宣旨にも背き、国使に抗して合戦に及んだのである。