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おんなのいっしょう
女の一生
森本 薫
「女の一生」文明社、1946(昭和21)年10月刊、初演は1945(昭和20)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,068 字 · 25 页
幸福で仲間のたくさんいる人間という物は、それだけ不幸で独りぽっちになる機会が多いんじゃないのかね。
ふみ そうかもしれないわ。でも、叔父さまが何時迄も独り身でいらしたり、お料理屋のお酒を呑んだりなさるのは、叔父さまが戦争に行ってらした間に、澄江おばさまが他所へお嫁入りしてしまわれたからだと思うわ。
しず ふみちゃん。
伸太郎(二十二)肖像画の額を抱えて、入って来る。
伸太郎 やあ、此処にいたの。叔父さん、いらっしゃい。
章介 なんだ伸ちゃん。家にいたのか、留守かと思っていた。
伸太郎 これをどうしても今日中に仕上たいと思ったものだから。
章介 ほう、何だい。(近づいて蔽いをとる、しずと見比べ)なかなかよく出来てるじゃないか。
伸太郎 お母さんの気に入るといいけれど……。
ふみ どらどら。(近づく)
しず 有難う。絵の方がほんものよりよさそうね。
伸太郎 そりゃおまけですよ。毎日辛抱してお相手して下すった。
しず お誕生日のお祝いに私に呉れるというのですよ。
章介 誕生日に物を贈るというのは西洋の習慣ですかね。それとも支那かな。
伸太郎 そりゃどうだかしらないけれど、お父さんは何時でも私達の誕生日には何か下さいましたよ。