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おんなのいっしょう
女の一生
森本 薫
「女の一生」文明社、1946(昭和21)年10月刊、初演は1945(昭和20)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,068 字 · 25 页
栄二 そういうものですかね。
けい それに娘と孫を諏訪の方に疎開させてあるんです。どうせ都会育ちの娘達が田舎に何時までも落ちつけるものでもなし、何時になるか分りませんが其の連中の帰って来る日の為にもと思ってこんな処に根を下しているんです。
栄二 そりゃなかなか大変ですね。併しこの見渡す限りの焼跡での一人住いじゃ随分心細い様なこともあるでしょうなあ。
けい それはね……強い様なことを言っても女ですもの、過ぎて来た日の事や行末のことを考えて眠れない事もありますよ。あらいやだ、暫く人とおしゃべりをしないもんだから、すっかりいろんな事をしゃべってしまって……。(立ち上って)どら、そろそろ寝るとしようか。御免なさい。
栄二 おやすみなさい。すみませんね引き止めてしまって。
けい いいえ、どうせ何時にねて何時に起きるという身分じゃないんですから。(小屋の後へ廻って戸の様なものをさげて来る。口の中で切れ切れに歌う)かき流せる……筆のあやに……そめし紫色あせじ。(明治二十三年発行小学唱歌集中、才女)
煙草を消して行きかけていた栄二がその声を聞いて立ち止る。
栄二 あの。
けい (歌をやめて)何か。