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おんなのけっとう

女の決闘

太宰 治

「月刊文章」1940(昭和15)年1~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,661 字 · 75 页

青空文庫

そんな人たちは、窮極に於いて、あさましい無学者にきまっているのであるが、世の中は彼等を、「智慧ある人」として、畏敬するのであるから、奇妙である。

鴎外だって、嘲っている。鴎外が芝居を見に行ったら、ちょうど舞台では、色のあくまでも白い侍が、部屋の中央に端坐し、「どれ、書見なと、いたそうか。」と言ったので、鴎外も、これには驚き閉口したと笑って書いて在った。

諸君は、いま私と一緒に、鴎外全集を読むのであるが、ちっとも固くなる必要は無い。だいいち私が、諸君よりもなお数段劣る無学者である。書見など、いたしたことの無い男である。いつも寝ころんで読み散らしている、甚だ態度が悪い。だから、諸君もそのまま、寝ころんだままで、私と一緒に読むがよい。端坐されては困るのである。

ここに、鴎外の全集があります。これが、よそから借りて来たものであるということは、まえに言いました。鄭重に取り扱いましょう。感激したからと言って、文章の傍に赤線ひっぱったりなんかは、しないことにしましょう。借りて来た本ですから、大事にしなければなりません。飜訳篇、第十六巻を、ひらいてみましょう。いい短篇小説が、たくさん在ります。