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おんなのけっとう
女の決闘
「月刊文章」1940(昭和15)年1~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,661 字 · 75 页
冗談にもせよ、人の作品を踏台にして、そうして何やら作者の人柄に傷つけるようなスキャンダルまで捏造した罪は、決して軽くはありません。けれども、相手が、一八七六年生れ、一昔まえの、しかも外国の大作家であるからこそ、私も甘えて、こんな試みを為したので、日本の現代の作家には、いくら何でも、決してゆるされる事ではありません。それに、この原作は、第二回に於いて、くわしく申して置きましたように、原作者の肉体疲労のせいか、たいへん投げやりの点が多く、単に素材をほうり出したという感じで、私の考えている「小説」というものとは、甚だ遠いのであります。もっとも、このごろ日本でも、素材そのままの作品が、「小説」として大いに流行している様子でありますが、私は時たま、そんな作品を読み、いつも、ああ惜しい、と思うのであります。口はばったい言い方でありますが、私に、こんな素材を与えたら、いい小説が書けるのに、と思う事があります。素材は、小説でありません。素材は、空想を支えてくれるだけであります。私は、今まで六回、たいへん下手で赤面しながらも努めて来たのは、私のその愚かな思念の実証を、読者にお目にかけたかったが為でもあります。