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おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
その上、存八と比べてそれに劣るものと断ぜられたのが何よりも無念の火をかきたてた。
負けることがキライなのは寺田の持ち前であるから、むらむらと逆上気分になり、
「御意見ありがたく身にしみましたが、私は残念ながらかけちがってまだ存八君の動きの妙に接したことがございません。後学のためにお手合わせを許していただきたく存じますが」
「とんでもない。ワタシはイヤだね。コソ泥の腕前だって四へんもつかまって刑務所へぶちこまれているのだから、剣術の腕前なんぞタカが知れてるじゃありませんか」
しかし朝之助は冷静に二人を見つめ見くらべて、おごそかに云い渡した。
「寺田の申すのは尤もだ。あいにく朝と晩とにかけちがって寺田は存八の剣を見ておらぬから不審であろうが、存八は案外やるぞ。立会ってみるがよい。後日の役に立とう」
「それはダメですよ。ワタシは下僕の仕事はしましたが、剣術の稽古なんぞはした覚えがないからね」
「あのままでよい。キサマ、面小手をつけたことがないから、面小手をつけてはグアイがわるかろう。素面素小手に袋竹刀でやるがよい」
「へい。それはもうポカポカぶたれるのには馴れていますが、お嬢さんとちがって、寺田さんはキンタマを狙ったり、ノド笛へかみついたりするからね。