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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
「新潮」1931(昭和6)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页
彼は暫くうとうととした。珍らしく床の中で新聞を読んだ。起上ると、夕陽が赤々と照っていた。その中で、庭で、キミ子は子供たちと戯れながら、風呂の焚付に古い木箱をわっている。鉈を振上げたおかっぱの彼女は、コスモスの彼女や議論の彼女とは、また別な似合った存在だ。振向いた顔が、健康そうに赤くほてっている。
「みんなが、半日労働をして、半日勝手なことをして暮す……そうした世の中になると、ほんとうにいいと思うわ。」
言葉は公式だが、それでも、心から自然に洩れた本音らしい。云ってしまって、少してれぎみに、白い歯を出して笑っている。彼もつりこまれて微笑して、縁側に立ったまま煙草に火をつけた。
三
来てから丁度一週間目に、キミ子は一日外出した。夕方帰ってきた。まもなく食事だ。食事の間、何か考えこんでいるらしく、いつもよりおとなしく静かだ。そして食事がすむと、長くお世話になったが、明日帰っていくんだと云う。それも、何のことだ、またコスモスへ戻るんだと、島村の耳に囁くのだ。そして今日のおみやだとて、いろんな花火を一包、子供たちの前に拡げてみせた。花火はふるっている。