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にょきゃくいっしゅうかん

女客一週間

豊島 与志雄

「新潮」1931(昭和6)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页

青空文庫

それが、特別な好悪の感情はなかったにせよ、こちらが真面目でいる時に、こまっちゃくれた小娘の姿で、何かしら真面目な思想をもって、飛びこんでこられると、逆に、虚を突かれた形で、裏から覗かれた心地で、落付けなかったのだ。壁の高みで、玳※の甲羅が笑っている。滑っこい、人を馬鹿にした笑いかただ。島村はやたらに煙草をふかした。キミ子は黙っている……。

女中が、伊達巻姿で、布団を運んでくると、島村は立上って、用もないのにアトリエの扉を開いて中を覗いた。室の中を歩き廻った。グラスやコップを片附けた。――我儘なお客さんだ。その長椅子の上に寝るんだって。いい加減に寝かしてやれよ。

キミ子は、びっくりした様子だ。顔を真赤にして、ばかに丁寧な言葉で、女中に詫びた。自分で布団を敷くんだと、女中と争っている……。

「じゃあ、おやすみなさい。」

キミ子は真面目な顔付で、黙ってお辞儀をした。

島村はそこに二人を残して、母屋の寝室の方へ行った。空が晴れてるらしい夜気だ。

二

眼がさめたら起上る、というのが島村の生活様式だった。睡眠時間は問題外だ。早く寝ようと遅く寝ようと、翌朝は、眼が覚めた時に起上るのだ。