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おんなごころのつよければ
女心の強ければ
豊島 与志雄
「女性改造」1950(昭和25)年8月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,011 字 · 94 页
家内の病中もそうでした。こちらからいろいろ容態を尋ねると、もう自分は危篤ではないかと気を廻しますし、こちらで黙っておれば、ひどく冷淡だとひがみます。いずれにしても、やりきれませんよ。だから、君子でなくとも、危きに近寄らずということになります。するとまた、薄情だとされます。結局、わたしは、薄情だと自認せざるを得ません。あなたには、そういう経験はありませんか。もっとも、あなたはまだお若いから、そういうことはありますまいけれど……。」
「別に、そんなことを考えた覚えはありませんね。」
「そうでしょう。その方が結構です。けれども、あのひとから、千代乃さんから、そのようにわたしのことを訴える……いや、批評しはしませんでしたか。」
「はっきり記憶していませんが……。」
「それなら、なお結構です。どうもわたしには、いったいに、女がふだんどのようなことを考えているか、さっぱり見当がつきませんのですよ。」
柿沼の言うところは、はっきりしているようでいて、実は、なんだかすべて上の空のような感じがあった。顧みて他を言ってるようだった。長谷川はいやな気持ちになった。
「あなたが言っていられるのは、一般の女のことでなく、千代乃さんのことでしょう。