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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
「文学界」1936(昭和11)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,514 字 · 36 页
そして、あやすように、
「玉江さん、春やとお庭へ行ってごらんなさい。緋鯉が大へんに大きくなりましたよ」
声をかけると、「いや」とかぶりを振って一そう園子の膝へしがみつくようにする。
「この子は少し風邪気のようですからお家の方がいいのね。さ、こうやっておとなしくしていらっしゃい」
園子は子供の上へ屈みこんで、袂を着せかけた。
子供のいるということが妙に話を食い停めてしまう。老夫人は踏み出しのつかぬ気もちで焦れていたが、
「おしものことで、この間から相談をしてみたいと思うていたけれど、あの娘ももう年頃ですからねえ、どこか堅気なところへ嫁にやりたいと思うて……」
話がいつかそれていた。
「急には心あたりもないけど、会社の人でどなたかいないかしら? 横尾にも話して心がけさせておきますわ」
「そうして頂けばわたしも安気ですよ。あれは小々呆んやりだけれど、まあ、気立てはよい方ですからねえ」
それを云いながら、老夫人は自分の口を何やらよそものに感じた。
三
園子の持ってきた五もくを開いて遅い中食をすませたところへ唐沢氏が帰って来た。小刻みな性急な足どりで離れへ入ってきて、