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じょせいのれきし
女性の歴史
宮本 百合子
文学にそって
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,758 字 · 43 页
どこの紡績工場でも、大体寄宿舎制で、そこに国民学校六年を終っただけの十四五から二十歳前の娘が、何万人と働かせられている。喰べるものは会社で賄って、働いた給料は、すべての紡績工場で、ほとんど全額を娘さんにわたすところはない。その何パーセントしか渡さない。会社で積立てている。四国の郡是という工場では、去年の秋ごろ、二百三十円前後の収入というのが一番多かった。何百、何千、何万の娘たちの給料の半額を会社で預って、預った金を一ヵ月間会社のために流用するなら、その金融的効力はどのくらいだろう。六年制の国民学校を出ただけの、子供のような女工さんには、こまかい話はしても判らない。会社は若い娘の夢をもたせるために、工場の建物を白く塗って、きれいな花壇をつくったり演芸会をしたり、工場の内に女学校の模型のようなものをおいて、お茶や、お花などをやらせている。その若い娘たちの文化水準が、とりも直さず、日本の婦人の文化的水準の基礎となっている。最も労働条件のおくれた日本の紡績産業に働く娘さんたちのもっている最低の文化的水準が、日本の民主的文化水準の底辺なのである。
人民の文学、民主的文学の課題はここから第一歩の出発をよぎなくされている。