轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こうい
好意
豊島 与志雄
「改造」1924(大正13)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,059 字 · 40 页
それから三十分とたたないうちに、吉岡の蒼白い頬にぽっと赤味がさして、額に汗がにじんできた。看護婦が調べてみると、熱が高まって脈搏も多くなっていた。
「何かひどく興奮なすってるようでございますが……。」
小声で看護婦からそう囁かれて、探るような眼付で見られると、敏子さんは訳の分らない狼狽を覚えた。腸に新たな障害を来してるので、大切な時期にさしかかってると、主治医から警告された矢先なので、猶更敏子さんは落付けなかった。
「何か気に障ることがありましたら、すっかり云って下さいよ。私で出来ることなら、河野さんにそう云ってやってもようございますし、何とでも致しますから。」
看護婦の手前も構わずに、敏子さんはいろいろ尋ねかけて、彼の心を和らげようとしたが、彼は黙りこくって、一心に何やら考え込んでる様子だった。結核患者特有の敏感な意識と執拗な気分とで、内心の或る不愉快なものにじりじり絡みついていってることが、敏子さんにもはっきり見えてきた。それと共に、看護婦が妙に二人の間を距てるような気勢を示してきたことも、敏子さんの心を打った。
敏子さんは家の中を、あちらへ行ったりこちらへ来たりして、いつになく気が落付けなかった。