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ようば

妖婆

芥川 竜之介

大正时代的东京街头,电车电话环绕,却发生了宛如爱伦·坡小说中的诡异事件。你敢相信,那位妖婆可能就藏在文明的光影里吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,473 字 · 73 页

青空文庫

が、いくら待ってもお敏の姿が見えないので、我知らず石河岸の前を離れながら、お島婆さんの家の方へ、半町ばかり歩いて来ると、右側に一軒洗湯があって、大きく桃の実を描いた上に、万病根治桃葉湯と唐めかした、ペンキ塗りの看板が出ています。お敏が湯に行くのを口実に、家を出ると云ったのは、この洗湯じゃないかと思う。――ちょうどその途端に女湯の暖簾をあげて、夕闇の往来へ出て来たのは、紛れもないお敏でした。なりはこの間と変りなく、撫子模様のめりんすの帯に紺絣の単衣でしたが、今夜は湯上りだけに血色も美しく、銀杏返しの鬢のあたりも、まだ濡れているのかと思うほど、艶々と櫛目を見せています。それが濡手拭と石鹸の箱とをそっと胸へ抱くようにして、何が怖いのか、往来の右左へ心配そうな眼をくばりましたが、すぐに新蔵の姿を見つけたのでしょう。まだ気づかわしそうな眼でほほ笑むと、つと蓮葉に男の側へ歩み寄って、「長い事御待たせ申しまして。」と便なさそうに云いました。「何、いくらも待ちゃしない。それよりお前、よく出られたね。」新蔵はこう云いながら、お敏と一しょに元来た石河岸の方へゆっくり歩き出しましたが、相手はやはり落着かない容子で、そわそわ後ばかり見返りますから、「どうしたんだ。