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ようば

妖婆

芥川 竜之介

大正时代的东京街头,电车电话环绕,却发生了宛如爱伦·坡小说中的诡异事件。你敢相信,那位妖婆可能就藏在文明的光影里吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,473 字 · 73 页

青空文庫

そこでその日は、まだ熱がとれないようだと云うのを口実に、午から二階の居間で寝ていました。が、その間でも絶えず気になったのは、誰かが自分の一挙一動をじっと見つめているような心もちで、これは寝ていると起きているとに関らず、執念深くつきまとっていたそうです。現に午過ぎの三時頃には、確かに二階の梯子段の上り口に、誰か蹲っているものがあって、その視線が葭戸越しに、こちらへ向けられているようでしたから、すぐに飛び起きて、そこまで出て行って見ましたが、ただ磨きこんだ廊下の上に、ぼんやり窓の外の空が映っているだけで、何も人間らしいものは見えませんでした。

こう云う具合でその翌日になると、益々新蔵は気が気でなくなって、泰さんの電話がかかるのを今か今かと待っていましたが、ようやく昨日と同じ刻限になって、約束通り電話口へ呼び出されました。しかし出て見ると泰さんは、昨日よりさらに元気の好い声で、「とうとう君、お敏さんの返事があってね、一切僕の計画通り実行する事になったよ。何、どうして返事を受取った? また用を拵えて、僕自身あの婆の所へ出馬したのさ。すると昨日手紙で頼んであるから、取次に出たお敏さんが、すぐに僕の手へ返事を忍ばせたんだ。