轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つまにしつれんしたおとこ
妻に失恋した男
江戸川 乱歩
「産業経済新聞」1957(昭和32)年10月6日、13日、20日、27日、11月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,695 字 · 12 页
みや子さんは琴浦医師に、はじめて真に愛しうる男性を見いだしたのではないか。そして、ついにふたりは共謀して南田を殺害するにいたったのではないかという考えです。治療椅子の枕を新らしくしたという事実が、この考えを強力に裏書きしました。
わたしは琴浦とみや子さんの身辺に、いよいよ執念ぶかく、つきまといました。ふたりが話し合っている部屋のそとから、立ち聞きしたことも、たびたびでした。
そして、南田が死んでから、ちょうど三月目に、ふたりは恐怖に耐えられなくなって、とうとう、わたしの前に兜をぬいだのです。
みや子は南田に対して極度に用心ぶかくしていました。南田の生前には、琴浦と最後の関係におよんでいなかったほどです。看護婦の目を盗んで、ささやきと愛撫だけで我慢しながら、その我慢のつらさゆえにこそ、ついにこの完全犯罪ともいうべき殺人を計画するにいたったのです。むろん、三千万円の相続ということも、強い動機でした。
琴浦はなぜ治療椅子の枕を焼きすてたか。その枕はピストルのたまで射抜かれ、血のりで汚れたからです。それが恐ろしい他殺の証拠になるからです。
犯人が被害者の口の中へピストルのつつ先を入れて発射するなんて、まったく不必要なことですし、普通の場合、ほとんど不可能な方法です。