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つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
」
「じゃ、そういってたっていいましょうよ。」
「でも取消してもいいのよ。決めなきゃならんわけではないんですもの、それもいってね。でも、そういうのもいやね。何だかかけひきみたいで。おおいやだ。」
「その通りいうわ私。」
仕方なく二人は笑った。笑いながらミネはやっぱりいやだった。何となくあと味がよくない。野村のいやだというケチンボの妹のことなどミネは知ろう筈がない。しかし、もしも閑子がその人に似ずに、美しい人に似ていれば、たとえ閑子がケチンボであっても何の懸念もなく気持も共に美しい女として話は決るのだろうか。そんなものなのだろうか。そういう男の側の気持を、貞子のもっている危惧とない合せて、ミネはもうとても素直な気持になれなかった。そうと聞けば閑子もそれは絶対にうけつけないだろうし、どうでもこうでもというほど気持が傾いているわけでもなかったのだ。
「やっぱり一応打切った方がいいと思うけど。」
ミネが決然というのを貞子は物分りよく押えて、
「だってさ、そういうものじゃないわよ。閑子さんもその気になってるんだし、ケチンボでなければそれでいいじゃないの。だからこのこと、まだ妹さんにはいわないでおいた方がよくはない。