轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
それはしきたりを無視した現れかもしれないが、みていて自然ではなく、男の方だけが嵩張っている感じだった。それだけではなく、自伝的な作品を通して感じられる千恵子には、古い日本の女のようにかしずいているような感じを時々もたせることがある。それを思い出してミネは、弁当をかかえている自分と千恵子のどこかしらを比べてみて、おかしかった。この二人の女は生れも、育ちも両極端であるように、身につけたものすべてがちがっている。いつか二人は信州の山の中に十日ばかりの旅をしたことがあった。千恵子が刑務所から出てきてまもなくのことである。東京の暑さをさけて出かけたのに、信州はもう秋の気配がこく、日本アルプスの山々は白く雪をきていた。朝夕の散歩に千恵子はいつもその日本アルプスの山々を眺め胸をはっているのに、ミネの方は足下の高山植物や、小さな雨蛙が八ツ手の葉の上で昼寝している姿のおかしさばかりが目についた。この相違が二人の相違なのだと、ミネはよくそのことを思い出す。たく山の書物をもっていった千恵子と、編物の毛糸を荷物の中に入れていったミネと、草原に腰をおろすと、千恵子は岩波文庫をひろげ、ミネは毛糸の編棒をとり出す。