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つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

第一子供たちが可哀そうよ。気ままといえば気ままな子ばかりだけど誰がお母さんお母さんといってくれようかと思うと、私、悪いことしたと思ってね。子供のためにも、かえろうと思うの。」

「そんななまやさしいところに問題はないのよ。もっと決定的なのよ。」

「決定的――」

「好きになれないっていうのよ。夫婦の感情がわかないっていうのよ。」

閑子は目を伏せた。ミネはまた、一年生を相手のくだき方で、

「はじめ子供のためといったけど、あれはお体裁だったと思うの。何といったって、結婚が子供のためなんてうそよ。閑ちゃんだってそうでしょう。どこの世界に、男のいない家へ母親になりにゆく女があるの。そんなわかりきったことをよく考えず、いちかばちかのくじ引みたいな結婚をよ、いやしくも進歩的だなどと自認する作家がよ、そんな世俗的な言葉にあやつられて押しすすめたのが失敗だったのよ。野村さんもその点反省しているし、私も馬鹿だったと思うの。あんたは世間なみに、も一度辛ぼうしてみようと思うのだろうけどね、私たちの仲間はそんないつわりにはたえられないのよ。だれがあんた、友だちを大ぜいよんで披露までした嫁さんとちっとやそっとのことで別れようなんて考えるもんか。