轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

そして野村からは「今日ゆけぬ」むねの電報がきた。

ともかくも妻が家出をしたというのに……

大きな不満が胸一ぱいにひろがってゆくミネのその心を、敏感にさとったのか閑子は、申しわけなさそうに野村のために弁護する。

「きっと忙しいのよ。そうそう、今日はたしか座談会があった筈よ。それでだわ。じゃあ、私ちょっといってこよう。」

さっさと立ち上り、帯をしめ直した。ミネのいったことなど頭に入ってはいなかったのだ。夕食も近い今、おひるもぬきで、閑子は持って帰ったリュックを又背負って出かけた。これが単なる夫婦げんかでないのがミネは口惜しかった。しかし閑子のその気軽さは、ミネにかすかながら希望をもたせもした。出がけにミネは通りまで送ってやり、別れぎわに、

「戻る気なら、馬鹿にもなるのよ。負けて勝つってこともあるんだからね。りこうになっちゃだめよ。馬鹿にならなくちゃ女は勝てないのよ。」

何という、かなしい忠言であることか。しかし閑子は素直にうなずき、さよなら、とあかるく笑いながらからだをのり出すようにして道を急いだ。夫にだまって家を出てきた妻の申しわけなさをからだ中にみなぎらせたような歩き方だった。