轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
ミネたちの朝寝が十時近くなると、閑子のつかうハタキの音はちがってきた。ミネたちが寝床の中で新聞をよむのは二十年来の習慣だったが、その新聞紙の音がしだすと、ふすまのあちらで聞き耳たてて待ち構えていたかのようにハタキの活動がはじまる。力まかせにたたきつけているようなすさまじいその音、感情をこめて責め立てているようなそのはげしさは、気のよい正子などにはとうてい出せるわざではなかった。
「気が、立ってるね。」
悠吉が舌打ちするのを聞くと、ミネはだまっていられなくなり、
「ね、正子、もっとしずかにしてよ。」
平静な声でいう。ハタキははたと止り、
「はいはい、私でした。すみません。」
これも平静をよそおった声だ。そして閑子はつづける。
「あの、ねむってたんならごめんなさい。ごはんはとっくにできております。おみおつけはもう三度ほどさめましたけど、まだおきませんか。」
切口上だ。
「すみません。みなまってたの。」
あやまるのだがミネの内心は歯がみをしている。それを閑子は知ってか知らずにかいどんできた。
「まってればよかったの。すみませんでした。」
ミネはいつも黙りこむしかなかった。