轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おばすて

姨捨

堀 辰雄

「文藝春秋」1940(昭和15)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,351 字 · 20 页

青空文庫

或冬の暗い夜の事だった。上では不断経が行われていたが、丁度声のよい人々が読経する時分だというので、一人の女房に誘われるまま、女はそちらに近い戸口に往って、そこに伏しながら、それを聴いていた。暫くそうして聴いていると、其処へ殿上人らしい男が一人、そういう二人には気がつかないように近づいて来た。

「どなただか知らないけれど、急に隠れたりなんぞするのも見ぐるしいから、このままこうして居りましょう」と、相手の女房が云うので、その傍に女もじっと伏せていた。

その男は、戸口の近くにそういう二人を認めると、前からの知合らしい一方の女房に向かって、非常に穏かな様子で詞をかけた。「いまお一人はどなたですか――」などとも問うたが、女が困って何んとも返事をせずにいても、それ以上執拗には尋ねなかった。そうしてそのまま二人の傍にすわりながら、そのどちらに向かってともつかず、世の中のあわれな事どもをそれからそれへと言い出して、女達にも真面目に問いかけたりするので、女もついそれに誘われて、いつか二こと三こと詞を交わしていた。「まだ私の知らないこういうお方がいられたのですね――」